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福岡で開催中の世界水泳選手権
オメガはどのようにして正確無比な計時をしているのか

今年7月30日まで、日本の福岡で開催されている第20回世界水泳選手権。世界最高レベルのアスリートたちが集結し、アスリートたちは水上・水中で勝利を収め、その名をスポーツの歴史に刻むため、熱き闘いを繰り広げます。

オメガは、FINAが初めて世界水泳選手権を主催した1973年以来、誇りをもってオフィシャルタイムキーパーを務めてきました。1932年から30回に渡ってオリンピックのオフィシャルタイムキーパーを務めてきたという、オメガのスポーツ計時における長い歴史に基づくものです。

では、そもそもどのように計時をしているのか?実際の競技会場にて、オメガ タイミングCEOアラン・ゾブリストが、オメガが開発した競泳の計時機器やシステムを紹介する「タイムキーピングツアー」を行いました。

まずは、レース開始の合図から。

 

マイクロフォンデバイス

これが競技開始の合図を発する装置です。これは各選手のスターティングブロックに設置されているラウドスピーカーに接続され、どの選手も同時にスタートの合図を聞くことができます。赤いボタンはスピーカーボタンで、スターターはこのボタンを押し、マイクに向かって“Take your marks”と発声します。その後に緑のボタンを押してスタートのブザー音を鳴らし、それと同時に計時システムが作動します。

スターティングブロック

ラウドスピーカーとフライング検知システムを搭載しています。スタートシグナルと同時に各ブロックに設置されたラウドスピーカーから音が発せられるため、全選手がまったく同時にスタートの合図を聞くことができます。また選手がブロックを離れると同時にリリース圧力を測定できるので、フライングが検知できると同時に、リアクションタイム(反応時間)も測定しています。さらにスタート台の傾斜角度を調整できるため、選手は最適なスタートポジションが得られ、より力強いスタート、理想的な角度から入水が可能になります。

バックストローク レッジ

背泳ぎ選手の スタート時の 蹴り出しと入水を向上させます。このデバイスにより、選手はスタートの際に水面に対してより高いポジションを取ることができます。水との接触が最小限に抑えられるということは、水の抵抗がより少なくなり、より力強いスタートが切れるということです。バックストロークレッジの高さは、手動回転式でいくつかのポジションに調整することができます。

スイミング ライト ショー

スターティングブロックにこのLEDライトが内蔵されています。ライトが1つ点灯すると1位、2つ点灯すると2位、3つ点灯すると3位でゴールしたことを示し、瞬時に観客に結果を知らせます。

スイミング・タッチパッド

1967年の導入以来、タッチパッドは競技を計測する最も正確な装置であることが証明されています。選手が自分自身でタイムを止められる数少ない競技の一つが水泳です。選手が、1.5~2.5kgの圧力をかけて押すことでタイムが止まります(波の圧力でタイムが止まることを避けるため1~2キロの力が必要)。パッドのどの部分を押してもタイムを止めることができます。

ハイスピードビデオカメラ

プールの上には、オメガのハイスピードビデオカメラも 設置されています。フィニッシュの瞬間は、このカメラでも記録され、もし一目で判別がつきにくい結果になった場合でも、勝敗を判断できます。

タイムキーピングルーム(計時室)

オメガタイムキーパーのみが入室可能なタイムキーピングルーム(計時室)にはすべての情報が集まり、すべての結果が判定され、さらにすべての情報の形式が整えられます。そして、この場所から会場のモニターや世界中のメディアに配信され、その結果を観客が即座に知ることができるのです。また情報を処理する機器だけでなく、その動力源となる電源も設置されており、万が一、競技中に停電などになっても計時機器が止まることはありません。

クォンタムタイマー

タイムキーピングルームに設置されたオメガのシステムの心臓部です。これでレースごとにそれぞれの選手のタイムを記録、配信します。このタイマーは100万分の1秒まで計測することが可能です。メインシステムとバックアップシステムが一体となっており、必要に応じて切り替えて使用することができます。

プール周辺の一番上にも、競泳トラッカーシステムという小さな画像追跡カメラが設置されています。これは各選手の動きを記録します。これにより競泳選手たちは、自らのパフォーマンスを完全に把握できるようになりました。ライブポジション、ライブスピード、加速/減速、選手間の距離、ストロークの回数などの選手のパフォーマンスに関するあらゆる情報がリアルタイムで計測され、世界中の放送局に共有されます。これもとに表示される情報によって、観戦者は今、目の前で起こってレース展開をより深く理解することができます。またこれらの情報は選手やコーチにも共有され、パフォーマンスを向上させるためのトレーング方法の改善にも活用されることが考えられます。

メガがオフィシャルタイムキーパーとして、競泳でどのような計時を行なっているか、少しでもご理解いただけましたでしょうか。今月30日まで、まだまだ白熱したレースが続きます。ぜひ計時技術にも注目しながら観戦をお楽しみください。